WWFについて

WWFの歴史

WWFの歴史

(3)広がる取り組み

1970年代に入ると、小さかったWWFの活動は、徐々に大きくなってきました。
この頃の、WWFの活動の中心は、野生生物の保護活動でした。WWF設立の端緒となったハクスリー卿の警告以来、多くの野生動物が、絶滅の危機にさらされるという、深刻な事態が世界中で起きていたからです。

世界の野生動物を救うために

1930年、4万頭いたと言われるインドのトラ(ベンガルトラ)は、1972年には1,872頭にまで減少していました。狩猟によるアフリカゾウの犠牲も年間10万頭といわれ、アジアとアフリカに生息しているサイの仲間も、多くが密猟に遭い、個体数が激減していました。

WWFは、インドでのトラ保護活動を始めとして、世界各地でさまざまな野生生物保護プロジェクトを展開しました。1960年代から取り組んでいた、アラビアオリックスの救出作戦、1970年代の終わりに展開した「セイブ・ザ・ライノ(サイ保護)」キャンペーンなどは、その代表的な活動です。

また、この他にも、熱帯林の保護キャンペーンや、海洋サンクチュアリの設立、そして、国際的な野生生物の取引の監視や密猟の防止など、1970年代はWWFがその活動の幅を大きく広げた時代でした。この時に始められた活動の中には、現在もWWFが継続している取り組みも少なくありません。

しかし、問題もありました。
当時、たくさんの人たちがWWFに寄付をしてくれるようになりはじめましたが、寄せられた資金は、当然、自然保護や野生動物の保護のためのもの。WWFという団体の運営のための寄付ではありません。ですが、活動の規模が大きくなり、必要な人員が増えてくると、やはりしっかりとした団体の財政基盤を固める必要がでてきます。

絶滅寸前だったアラビアオリックス。個体数回復の試みは、WWFが協力した最も初期の活動である。© John Ernest CLARKE / WWF-Canon

世界に通用する国際団体をめざして

1970年、当時のWWFインターナショナル総裁であった、オランダのベルンハルト殿下は、この問題を解決するため、「1001」というある計画を実行しました。

これは、世界中の1001人の個人の方から、それぞれ1万ドルの融資を得て信託基金を作り、その利子を団体の管理費に充てる、というものです。この計画は文字通り、世界各国1001人の心ある人々の協力を得て実現され、WWFは基本的な組織としての財政基盤を固めることが出来たのでした。

また、この「1001」は、実際の自然保護の活動の面においても、WWFの信頼を築く大事な役割を果たしました。その一例が、1973年にスタートした、インドでのトラ保護活動の成功です。

マレーシアを訪問中のオランダのベルンハルト殿下。© WWF Intl. / WWF-Canon

WWFは当時、インド政府が行なおうとしていた、野生のトラの保護プロジェクトを全面的に支援する一大プロジェクト「オペレーション・タイガー」を展開していました。この時、WWFは世界各国から多くの人々に支援される、信頼に値する団体として、トラ保護のための多くの寄付を受けることが出来たのです。

インドのインディラ・ガンジー首相(当時)の積極的な取り組みと、たくさんの支援を得ることができたおかげで、トラの保護活動は成功を納めました。インド国内に 15カ所、ネパールに3カ所、バングラデシュに1カ所のトラの保護区が設立されたほか、国内での密猟の取り締まりも強化され、トラの絶滅は回避されたのです。

匿名の寄付を受け、IUCNの事務局に間借りしていたWWFインターナショナルが、スイスのローザンヌとジュネーブの間に位置する町グランに、独立した事務所を構えたのも、1970年代の終わりのことでした。

仔トラを抱くインドのインディラ・ガンジー首相。© WWF Intl. / WWF-Canon

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(4)世界環境保全戦略

従来の野生生物保護に注力しながらも、WWFが「地球環境」という視野を活動の基礎として明確に定めたのは、1980年のことでした。この年、発足から20年目を迎えたWWFは、IUCN、UNEP(国連環境計画)とともに「世界環境保全戦略」を策定しました。